男性の泌尿器科

男性の泌尿器科疾患は、男女共通の腎臓・尿路・副腎の疾患に加え、前立腺、陰嚢・精巣、陰茎など男性生殖器系の疾患も含まれます。加齢に伴い前立腺が肥大することで尿道が閉塞し、尿流が悪化することもあります。当院では患者様のプライバシーにも徹底的に配慮し、「恥ずかしくない受診と治療」を心がけています。どんなお悩みでもまずはお気軽にご相談ください。

前立腺の病気

前立腺は男性のみが持っている臓器です。膀胱の出口の尿道を取り囲む形で存在しており、栗の実のような形と大きさをしています。精液の一部分を作っており、射精や排尿の調節に関わっています。

前立腺肥大症

前立腺肥大症は加齢により発症することが多い中高齢男性の疾患で、前立腺の肥大が隣接する膀胱や尿道を圧迫し、頻尿、尿意切迫感、排尿後の残尿感などの症状を引き起こします。これらの症状は日常生活に影響を与えるため、排尿に関する問題が現れたら専門医に相談することが推奨されます。早期発見と適切な治療が重要で、症状や患者の状態に応じた治療法が選択されます。

急性前立腺炎

前立腺とは膀胱と尿道に間にある男性にのみある臓器です。精液の一部などを作ったり排尿の調整にかかわっています。急性前立腺炎はその前立腺に細菌による感染が起こり、悪寒を伴う38度以上の発熱や排尿障害などの症状が出る病気です。抗生物質による治療が一般的ですが、重症化すると入院治療が必要になる場合もあります。

慢性前立腺炎

慢性前立腺炎は、急性炎症が長期化した状態で発症することが多いですが、ストレスや血流不良など他の要因で起こることもあります。主な症状は排尿障害ではなく、下腹部や会陰部の痛みや違和感です。これらの症状は一時的に現れては消え、痛みの部位は特定しにくいことが特徴です。慢性前立腺炎は正確な原因が不明であり、診断や治療が難しいですが、患者の状態に合わせた治療で症状を管理できます。若年~中年男性に比較的多く見られ、ストレスが多い働き盛りの方や座位が多くなるデスクワークの方に多いとされています。

前立腺がん

前立腺がんは近年、中高年男性で増加しており日本人男性に発症するがんの第一位です。初期段階では自覚症状がほとんどないですが、進行すると前立腺肥大症に似た排尿障害を引き起こすことがあります。PSA検査により早期発見が可能で、遺伝的要素も影響を及ぼすとされています。主に前立腺の外側の部分で発生し、進行するとリンパ節や骨に転移することがあります。発見が早期であれば治療選択肢は豊富ですのでリスクがある場合はPSA検査の検討をおすすめします。

精巣の病気

精巣上体炎

精巣上体炎は、尿道からの細菌感染により精巣上体で炎症が発生する状態です。この炎症は陰嚢の痛み、腫れ、発熱などの症状を引き起こします。特に若年層では性感染症が原因となることもあり、高齢者では前立腺肥大症などに関連した尿路感染が原因であることもあります。早期に適切な治療を受けることが重要で、症状が重い場合は入院治療が必要になることもあります。不安な症状があれば当院へご相談ください。

精巣がん

精巣がんは比較的若年層に多く発見されるがんで、20代後半から30代にかけて特に発症が見られます。このがんは精巣の精細管上皮細胞から発生し、初期症状として精巣の痛み、腫れ、しこり、サイズの不均一などがあります。通常は痛みの伴わない無痛性です。早期発見が重要であり、特に若年層では将来の妊孕性を考慮した治療選択も重要です。精巣がんは稀であるものの、早期治療により治癒可能性が高く、特にセミノーマと非セミノーマという細胞の種類によって治療法や予後が異なります。症状に気付きましたら当院へご相談ください。

尿路の病気

尿道炎

尿道炎は、尿道の粘膜に細菌が感染し炎症を引き起こす状態で、主に淋菌やクラミジアなどの性感染症が原因です。淋菌は排尿時に強い痛みを引き起こし、クラミジアは軽い痛みや違和感が特徴です。この状態を放置すると、尿道が狭窄して尿閉を引き起こすリスクがあり、性感染症は将来的に不妊の可能性もあります。尿道炎は主に男性に見られ、感染が疑われる場合は速やかに治療が必要です。

尿路結石症

尿路結石はその位置により、腎結石・尿管結石・膀胱結石などと呼ばれています。原因は非常に複雑で、尿路の通過障害、感染、寝たきりまたは骨折、食事(動物性蛋白質や脂肪など)、内分泌・代謝異常など様々な要因が考えられています。激痛を引き起こし、炎症や腎機能障害の原因ともなるため、早期発見と治療が重要です。診断には超音波検査、X線、CTが用いられ、結石の大きさや位置に応じた治療が行われます。結石が自然に排出されることもありますが、無症状であることも多く、定期的な検診が推奨されます。

尿路感染症

尿路感染症は、細菌やウイルスが尿道から体内に侵入し、尿路の各部位で炎症を引き起こす病気です。感染部位により、尿道炎、膀胱炎、腎盂腎炎などに分類され、症状は頻尿、排尿時の痛み、血尿、発熱や特定部位の痛みなど多岐にわたります。女性は尿道が短いため、特に尿路感染症に罹患しやすいとされていますが、男性でも前立腺の肥大が関連して感染リスクが増すことが指摘されています。

急性尿道炎

急性尿道炎は主に性感染症のクラミジアや淋菌が原因で起こります。この病気は排尿時の痛みや違和感、膿を伴う分泌物の排出などの症状が特徴的です。特にクラミジアは自覚症状が少なく、無意識のうちに他人への感染リスクがあるため、感染が判明した場合はパートナーにも検査を勧め、治療完了までは性行為を避けるべきです。コンドームの使用は、これらの性感染症を予防する効果的な手段の一つです。性行為の際は正しい方法での使用が推奨されています。

腎臓の病気

急性腎盂腎炎

急性腎盂腎炎は尿道から腎臓へと病原体が拡がった状態を指し、尿の濁り、血尿、排尿痛、背中の痛み、発熱などが主な症状です。特に尿路の狭窄を持つ人や糖尿病患者、免疫力が低下している人はリスクが高まります。急性腎盂腎炎は重症化しやすく、敗血症に至ることもあるため、高熱が出る場合は特に注意が必要です。治療は早急に行うべきで、特に結石が原因の腎盂腎炎は抗生剤加療や外科的処置も必要となり、入院加療が必要です。

腎盂尿管がん

腎盂尿管がんは腎臓の尿路上皮細胞から始まるがんで、最も一般的な症状は無痛性の肉眼的血尿です。このがんは腎盂や尿管に発生し、時に膀胱がんとの合併が見られます。喫煙はこのがんの重要なリスク因子であり、特に60歳以上の男性に多く見られます。がんが進行し尿路を塞ぐと、水腎症や腎機能障害の原因にもなり得ます。腎盂尿管がん患者の約20%で膀胱がんも発見されることがあるため、初期の発見と治療が重要です。

腎嚢胞

腎嚢胞は、腎臓に形成される液体を含んだ袋状の組織で、多くは無症状で健康への影響も少ないです。しかし、サイズが大きくなったり、数が多い場合、出血や感染を引き起こすリスクがあり、腎機能の低下や悪性腫瘍の可能性も考慮する必要があります。特に透析患者では嚢胞性腎がんのリスクが高まるため、定期的な検査と適切な管理が重要です。

腎臓がん・腎細胞がん

腎臓がん、特に腎細胞がんは腎臓の腎実質部分で発生するがんで、初期段階では症状が少ないため発見が遅れがちです。血尿、腹部の腫れやしこりが進行したサインとなります。罹患率は50代後半以降で上昇し、特に透析患者では発症リスクが高いと考えられています。最近は、超音波検査やCT検査により偶然発見されるケースも増えており、ロボット手術などで腎機能温存治療である部分切除術できる場合があります。

膀胱の病気

膀胱がん

膀胱癌は、主に60歳以上の男性に多く見られ、喫煙や環境汚染物質が発症リスク要因とされています。最初の症状はしばしば痛みを伴わない血尿で、初期段階では内視鏡手術などの低侵襲治療で治る可能性があります。膀胱癌は移行上皮細胞から発生し、男性には女性よりも、喫煙者には非喫煙者よりも発症率が高いとされています。早期発見が治療成果に大きく影響するため、尿検査で異常が見つかった場合は迅速な診断と治療が推奨されています。

神経因性膀胱

神経因性膀胱は、膀胱の正常な蓄尿と排尿機能が失われる病状を指します。主な症状には頻尿、残尿感、尿失禁などがあり、これらは膀胱の適切な収縮機能の欠如によるものです。原因には脊髄の損傷、糖尿病、加齢などがあり、膀胱内に尿が溜まり過ぎたり、排尿に過剰な力が必要になったりします。これが長期化すると尿路感染症や腎機能障害のリスクが高まります。治療は原因に応じて薬物療法やカテーテル使用が含まれ、定期的な検査で状態をモニタリングし、腎機能保護に努める必要があります。

亀頭の病気

亀頭包皮炎

亀頭包皮炎とは、男性の亀頭や包皮が細菌やカンジダに感染して炎症を起こす病気です。原因により、細菌性亀頭包皮炎とカンジダ性亀頭包皮炎に分けることができます。大人だけでなく、子供にも起こりやすい病気です。糖尿病の患者さんは尿に糖が混ざることで包皮に炎症が起こりやすくなるため、亀頭包皮炎を起こしやすくなります。

性感染症

性感染症

性感染症(STI)は、性的接触によって伝播する病気で、淋菌やクラミジア、梅毒など様々な病原体が原因となります。多くの場合、無症状であり、特定の症状が出るまで気づかないことが多いですが、血尿や性器の異常などの自覚症状が出ることもあります。性感染症は全ての性行為に関連するリスクがあるため、誰にでも起こり得る問題です。感染が疑われる場合は、パートナーの有無症状に関わらず、迅速に検査と治療を受けることが重要です。また、感染が広がるリスクを減らすためにも、予防策として正しい知識とコンドームの使用が勧められています。

男性更年期障害

男性更年期障害

男性更年期障害は、加齢による男性ホルモンの低下が原因で生じ、身体的、精神的、性機能の各種症状を引き起こします。これにはホットフラッシュ、冷え、動悸、不眠、抑うつ、性欲の減退などが含まれ、加齢だけでなくストレスや生活環境の変化も影響を与えることがあります。男性の場合、テストステロンの減少は徐々に進むため、症状が出現しにくく診断が難しい場合があります。症状がある場合は、男性ホルモンの検査によって診断が可能で、適切な治療により改善が見込めます。

血尿

血尿(尿潜血陽性)

尿検尿査で初めて血尿とわかる、微量の血液が尿に含まれている状態が顕微鏡的血尿で、目で見て確認できない血尿のことを指します。これに対し、尿に明らかに血液が混じっている状態は肉眼的血尿と呼ばれ、より重大な疾患の可能性があります。血尿は腎臓や尿路の疾患を示唆し、年齢が上がるにつれて、特に女性での発見頻度が増えます。膀胱がんや腎がんなど、重要な疾患が発見されることもあるため、血尿が確認された際は速やかに精査を受けることが重要です。

監修医:とねり腎泌尿器クリニック院長

木村 章嗣

経歴

泌尿器科医/医学博士/日本泌尿器科学会専門医・指導医
ウィーン医科大学泌尿器科リサーチフェロー
東京慈恵会医科大学泌尿器科講師
東京慈恵会医科大学附属柏病院泌尿器科講師診療医長

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とねり腎泌尿器クリニック

住所東京都足立区舎人1-11-17 第3横田ビル2階

診療科目泌尿器科

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