女性の泌尿器科

女性の泌尿器科疾患は、男女共通の腎臓・尿路・副腎の疾患に加え、排尿障害、膀胱炎などの疾患が含まれます。また、妊娠出産や加齢が原因となる骨盤底筋の緩みによる骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁などの疾患も含まれます。当院では女性の患者様でも安心してご相談をいただけるような環境作りと、デリケートな悩みに対してのプライバシー配慮を徹底しております。患者様ひとりひとりに寄り添った「恥ずかしくない受診と治療」を心がけています。

膀胱の病気

膀胱炎

膀胱炎は、主に細菌感染により膀胱で炎症が起きる病気です。主に排尿時の痛みや頻尿、残尿感が見られ、女性に多い疾患です。診断は尿検査での炎症細胞の同定、原因菌の特定と抗生物質の感受性検査が重要で、治療は症状が改善しても中断せず、耐性菌の発生を防ぎながら完遂する必要があります。予防には十分な水分摂取と排尿を我慢しないことが効果的です。早期発見と適切な治療が、再発防止と完治に繋がります。

骨盤臓器脱

骨盤臓器脱は、加齢や出産の影響で骨盤底筋群が弱まり、膀胱・子宮などの臓器が下垂する状態です。このため、頻尿や尿漏れなどの排尿障害が生じることがあります。この状態は女性に特有のもので、症状の程度は0期からIV期に分類します。骨盤臓器脱には薬は無効で、治療の原則は手術療法となります。また、脱出が軽度の方や手術を受けられない方のためには、対症療法としてリングペッサリーを挿入する方法もあります。

過活動膀胱

過活動膀胱は、急に尿意を催して何回もトイレに行ったり、トイレに間に合わず尿を漏らしてしまったりする病態です。主に膀胱の知覚過敏、加齢、ストレス、自律神経の不調などが原因で、日本では40歳以上の約10%がこの症状を抱えているとされます。治療には膀胱訓練、薬物療法が有効であり、難治性の場合は少なくとも12週間の治療が推奨されます。発症の仕組みは完全には解明されていませんが、加齢・肥満・メタボリック症候群など複数の健康問題が関連していると考えられています。

閉経関連性器尿路症候群(GSM)

閉経を迎えると、女性ホルモンのエストロゲンが低下し、外陰部や膣、下部尿路の萎縮を引き起こし、痒み、乾燥、尿路症状、性交痛などさまざまな不快な症状が現れます。これらは閉経関連尿路性器症候群(GSM)と呼ばれ、保湿剤や潤滑剤の使用、ホルモン補充療法、漢方薬、骨盤底筋トレーニングによる治療で改善が見込めます。GSMは閉経期に特有の現象で、適切なケアにより生活の質を向上させることが可能です。

間質性膀胱炎

間質性膀胱炎は、膀胱内の粘膜が慢性的に炎症を起こし、頻尿、尿意切迫、膀胱痛などを引き起こす疾患です。診断が困難であり、誤って一般的な膀胱炎や過活動膀胱と診断されることもあります。原因は不明とされており、膀胱の内側を覆っている細胞が損傷し、その結果、尿中の物質が膀胱を刺激しているのではないかと考えられています。治療は薬物療法が主で、一部の食品や飲料が症状を悪化させることもあるため、生活習慣の見直しが重要です。症状が重い場合は手術も検討されます。

膀胱がん

膀胱がんは膀胱の内側の尿路上皮に生じるがんで、内側に広がる表在性と外側に広がる浸潤性の二種類があります。表在性は再発率が高く、浸潤性は転移しやすく悪性度が高いとされています。初期症状は痛みを伴わない血尿で、早期発見と治療が可能です。女性より男性で発症率が高いものの、女性では診断が難しく、遅れることもあり、定期的な健診と早期の医療相談が推奨されます。

神経因性膀胱

神経因性膀胱は、膀胱の正常な蓄尿と排尿機能が失われる病状を指します。主な症状には頻尿、残尿感、尿失禁などがあり、これらは膀胱の適切な収縮機能の欠如によるものです。原因には脊髄の損傷、糖尿病、加齢などがあり、膀胱内に尿が溜まり過ぎたり、排尿に過剰な力が必要になったりします。これが長期化すると尿路感染症や腎機能障害のリスクが高まります。治療は原因に応じて薬物療法やカテーテル使用が含まれ、定期的な検査で状態をモニタリングし、腎機能保護に努める必要があります。

尿路の病気

尿道カルンクル

尿道カルンクルは、特に閉経後の女性に見られる尿道出口の良性腫瘍です。サイズは数mmから大豆大まであり、色は朱色から赤色が多いです。多くは無症状ですが、大きくなると排尿困難、尿の飛び散り、頻尿、痛み、出血などの症状が現れることがあります。ステロイド軟膏による治療が一般的で、症状の改善が見られない場合は手術が必要な場合もあります。

閉経関連性器尿路症候群(GSM)

閉経を迎えると、女性ホルモンのエストロゲンが低下し、外陰部や膣、下部尿路の萎縮を引き起こし、痒み、乾燥、尿路症状、性交痛などさまざまな不快な症状が現れます。これらは閉経関連尿路性器症候群(GSM)と呼ばれ、保湿剤や潤滑剤の使用、ホルモン補充療法、漢方薬、骨盤底筋トレーニングによる治療で改善が見込めます。GSMは閉経期に特有の現象で、適切なケアにより生活の質を向上させることが可能です。

尿路結石症

尿路結石はその位置により、腎結石・尿管結石・膀胱結石などと呼ばれています。原因は非常に複雑で、尿路の通過障害、感染、寝たきりまたは骨折、食事(動物性蛋白質や脂肪など)、内分泌・代謝異常など様々な要因が考えられています。激痛を引き起こし、炎症や腎機能障害の原因ともなるため、早期発見と治療が重要です。診断には超音波検査、X線、CTが用いられ、結石の大きさや位置に応じた治療が行われます。結石が自然に排出されることもありますが、無症状であることも多く、定期的な検診が推奨されます。

腎臓の病気

急性腎盂腎炎

急性腎盂腎炎は尿道から腎臓へと病原体が拡がった状態を指し、尿の濁り、血尿、排尿痛、背中の痛み、発熱などが主な症状です。特に尿路の狭窄を持つ人や糖尿病患者、免疫力が低下している人はリスクが高まります。急性腎盂腎炎は重症化しやすく、敗血症に至ることもあるため、高熱が出る場合は特に注意が必要です。治療は早急に行うべきで、特に結石が原因の腎盂腎炎は抗生剤加療や外科的処置も必要となり、入院加療が必要です。

骨盤の病気

骨盤臓器脱

骨盤臓器脱は、加齢や出産の影響で骨盤底筋群が弱まり、膀胱・子宮などの臓器が下垂する状態です。このため、頻尿や尿漏れなどの排尿障害が生じることがあります。この状態は女性に特有のもので、症状の程度は0期からIV期に分類します。骨盤臓器脱には薬は無効で、治療の原則は手術療法となります。また、脱出が軽度の方や手術を受けられない方のためには、対症療法としてリングペッサリーを挿入する方法もあります。

尿失禁

尿失禁

尿失禁は、自分の意思とは無関係に尿が漏れ出る状態で、腹圧性、切迫性、溢流性、機能性の四種類に分類されます。腹圧性尿失禁は咳やくしゃみなどで腹圧が増すときに発生し、切迫性尿失禁は突然の尿意でコントロールが効かずに漏れてしまいます。これらは主に女性に多く、妊娠、出産、肥満、加齢が要因で、男性では前立腺関連の手術後に見られます。治療法としては、骨盤底筋トレーニングや薬物療法が有効で、症状に応じて選択されます。尿漏れの改善にはこれらの治療が効果的です。

性感染症

性感染症

性感染症(STI)は、性的接触によって伝播する病気で、淋菌やクラミジア、梅毒など様々な病原体が原因となります。多くの場合、無症状であり、特定の症状が出るまで気づかないことが多いですが、血尿や性器の異常などの自覚症状が出ることもあります。性感染症は全ての性行為に関連するリスクがあるため、誰にでも起こり得る問題です。感染が疑われる場合は、パートナーの有無症状に関わらず、迅速に検査と治療を受けることが重要です。また、感染が広がるリスクを減らすためにも、予防策として正しい知識とコンドームの使用が勧められています。

血尿

血尿(尿潜血陽性)

尿検尿査で初めて血尿とわかる、微量の血液が尿に含まれている状態が顕微鏡的血尿で、目で見て確認できない血尿のことを指します。これに対し、尿に明らかに血液が混じっている状態は肉眼的血尿と呼ばれ、より重大な疾患の可能性があります。血尿は腎臓や尿路の疾患を示唆し、年齢が上がるにつれて、特に女性での発見頻度が増えます。膀胱がんや腎がんなど、重要な疾患が発見されることもあるため、血尿が確認された際は速やかに精査を受けることが重要です。

監修医:とねり腎泌尿器クリニック院長

木村 章嗣

経歴

泌尿器科医/医学博士/日本泌尿器科学会専門医・指導医
ウィーン医科大学泌尿器科リサーチフェロー
東京慈恵会医科大学泌尿器科講師
東京慈恵会医科大学附属柏病院泌尿器科講師診療医長

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とねり腎泌尿器クリニック

住所東京都足立区舎人1-11-17 第3横田ビル2階

診療科目泌尿器科

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